羽衣電機では、男性の外国籍スタッフ4名が活躍中です。2名は同社に入社する以前から永住権を持ち、日本人と同様の方針で採用。そしてあとの2名が、11月に来日したミャンマー人の若い技能実習生です。今回は技能実習生のお話を中心に、北田社長に受け入れのために準備されたことやサポート体制、所感などを伺いました。

将来を見据えて海外人材に着目。まずは第一歩を。

──外国籍スタッフの受け入れを決められた経緯を教えてください。

現時点で「募集して人が来ない」という状況では無いのですが、採用活動に力を注いでいても、若い人口が減り続ける日本の状況を鑑みると、国内だけに絞った採用方針では年々難しくなる一方です。そこで、将来を見据えて外国の方の力を借りることを検討していました。まず第一歩として技能実習生を迎え入れようと考えました。

社員に考えを伝えたところ、「言葉の壁や文化などの違いに不安を感じる」という声が出ていました。しかし、「何事もやってみないとわからない。まずは一度挑戦しよう」と伝え続けることで、不安の払拭や受け入れの土壌づくりに努めることにしたのです。そして、昨年の1月ごろに候補者たちとZoomで話をして、その後ミャンマーの現地で直接対面で面接を行ないました。

──技能実習生を迎えるにあたって、事前に準備されていたことはありますか?

最初、翻訳機を用意していましたが、直接意思の疎通をはかった方が早いので実際はほとんど使っていないです。技能実習生の2人も語学の習得に前向きで、日本語をどんどんと吸収しています。また、「キラキラとピカピカはどう違いますか?」と、従業員の輪に飛び込んで質問するなど、積極的にコミュニケーションをとってくれています。

その一生懸命さに対して丁寧に教えるのはもちろんのこと、ご飯に行ったり京都で小旅行を楽しんだりと、みんなで応援しているという環境です。語学については、日本の映画や動画サイトなどで自主的に勉強を重ねるなど、本当にひたむきに頑張っていると感じます。

──受け入れ後に実施されている、ソフト面でのサポートなどをお聞かせください。

月1回、一緒にご飯に行って近況などを話す機会を設けています。話の内容は「どんなアニメが好き?」といった雑談から、学ぶ上でのつまずきなどが無いかどうかの確認、将来のキャリアについてなどさまざまです。「将来は経営者になりたい!」という夢について聞くこともあります。あとは、毎朝ちょっとの時間ですが「昨日はどんな感じだった?」と、日本語で教えてもらう交流の時間をつくるようにしています。

受け入れてからわかった、世話を焼きたくなる関係性。

──ミャンマーのお2人は、それぞれどのようなお人柄でしょうか?

19歳と21歳という若さで、もともと友達同士という関係性で当社に来てくれました。「真面目で実直そう」という印象で採用したのですが、実際に熱心かつ真面目に頑張っています。19歳のスタッフはサッカーが好きでミャンマー人のコミュニティに入ってプレーをしているようです。もう1人のスタッフは逆にインドア派で、休みの日には動画鑑賞などを楽しんでいると聞いています。2人で支え合うとともに、語学については「1人が上達した分、自分も負けないように努力する」と切磋琢磨し合っているのを、微笑ましく見守っています。

──受け入れ前と後で、印象の変化はありましたか?また、文化の違いなどから起こったエピソードがあれば教えてください。

実は受け入れる前、お互いに干渉し合うこと無く「ドライな関係」で期間を終えるだろうと思っていました。でも、実際は積極的にみんなに対してコミュニケーションをとりつつ、業務の習得に一生懸命な姿を見ると、私も従業員たちも色々と力になれたらと思ってしまいます。今は「残り数年で帰国するのか」と思うと淋しい気持ちです。エピソードとしては、ミャンマーと比較すると日本の冬は寒いようで、寮のエアコン代に驚いたことがあります。そこですぐに、湯たんぽを支給しました(笑)。あとは、寮のご近所さんからも可愛がってもらっているみたいで、「寒いだろうから」と毛布をいただいていました。

本人の志向に応じて、より高度な技術も伝えたい。

──実習の内容と、今後の展開についてお聞かせください。

今はまず基礎的な業務をレクチャーしているのですが、これからは溶接や組み立てといった、図面を見て判断するような、品質に関わる高度な技術を伝えていきたいと考えています。ただここは、センスと努力が求められる“職人”の領域なので、本人たちの強い希望や意思が必要です。もし「やりたい!」ということであれば喜んで支援します。そしてこれも本人の意思と技術の習得次第ですが、「実習後、日本で働きたい」ということであれば、特定技能への移行も後押ししたいと考えています(編注:特定技能1号の在留期間は通算5年まで。特定技能2号は上限なし)。

──外国人の実習生を受け入れて社内の雰囲気などは変わりましたか?

正直なところ、「みんながやる気にあふれ、ドラスティックに雰囲気が変わる」という夢物語はありません(笑)。しかし、ひたむきに頑張っている姿を見て周りが応援する空気が醸成されているのを感じます。技能実習生の受け入れは初めてのため、まだまだ試行錯誤の段階です。せっかく来てくれた実習生のために出来ることをしつつ、当社としても外国人のスタッフが活躍できるためのノウハウを蓄積して、体系化を目指したいと思います。