2000年に羽衣電機に加わり、現在54歳で主任として勤務する日根さん。歴史の講師として教鞭をとった経験を持ち、入社後は仲間たちからずっと頼られ続けている存在です。今回はそんな日根主任に、羽衣電機のお互いを思いやる風土や、働きやすさの秘訣などについてお話を伺いました。

蓋を開けると「みんな、教えるのが好き!」という職場です。

──新しく入社された方が、スムーズに馴染むためのサポート体制などはありますか?

以前、若い方が多く入社していた時期は先輩社員が新入社員のメンターとなってサポートする「メンター制度」で対応していました。仕事のことだけではなく、日常会話など何でも気軽に相談できるような関係性を育むイメージです。それ以外でも、みんなで自然と声を掛け合う文化です。大所帯ではない分、お互いに目が行き届く環境です。コロナ禍中は、「飲みに行く」ということはなかったのですが、最近はまた少人数でご飯にいく機会が増えました。といっても、「過度な干渉」は無いですよ。

──仕事の教え方など、昔と変わったところはありますか?

私が入社した当初は「見て覚える」といった職人気質の風土が残っていましたが、今はすべての工程が作業手順書になっています。それに基づいて仕事を教えることができるので、効率的です。あと、みんな教えるのが好きなので、周りに聞いて覚える風土です。教えあうことでチーム全体がスキルアップすると、できる作業領域もスピードも上がるので“実は生産的だ”という考え方が根付いているように感じます。

──毎日の業務で「特に意識されていること」の事例を教えてください。

例えば、製造部で毎日ミーティングを行なっており、そこで「ものづくりへの誓い」として「次の工程を受け持つのは、お客様という気持ちで仕上げる」ことを伝えているのですが、みんながそれを意識して仕事をしてくれています。ちょっとした意識改革と習慣化なのですが、「これくらいは、次工程で何とかしてくれるだろう」という考えを払拭することで凡ミスが起こりにくくなり、ロスや不良品率を大きく削減。会社の利益にもつながっています。

一日の始まりこそ、「楽しい」気分でスタートする。

──マネジメントの極意として、気を配っておられることはありますか?

朝は「掃除」から仕事が始まるのですが、積極的にこちらから話しかけることを心がけています。「困っていることは?」「最近、作業スピードが上がったね」といった業務の内容からプライベートな話まで、他愛もない内容が多いです。ちなみに、掃除のとき「マイナスなこと」は言わないように心がけています。やはり朝は気持ち良いスタートを切った方が、1日のパフォーマンスは高くなりますので。

仕事の進め方については「こうした方が良い」と直接的な言い方をすることはほとんどありません。質問されたタイミングで答えたり、「あなたは、どうした方が良くなると思いますか?」と問いかけたりなど、“当事者として考えて行動する”ことを促進するよう努めています。また人によって「マネジメント法を変える」ことはしたくないので、個性に寄り添った指導でありつつも、誰に対してもフェアに対応することを肝に銘じています。

──ものづくりの世界に飛び込んだきっかけを教えてください。

もともと勉強が大嫌いで、遊ぶことばかりに真剣になっていました(笑)。そのとき、プラモデルにハマって、「何かをつくり上げ、分解してもう一度組み立てる楽しさ」に目覚めたことが原点かもしれません。歴史の講師になったのも、良い社会の先生に出会ったことがきっかけで「誰かの役に立ちたい」というのがモチベーションでした。その感覚は今でも変わっておらず、人に“教える”というよりは「ともに学び、一緒に成長したい」という考え方が根っこにあります。

──製造部の主任として、「仕事を行う際の工夫」をひとつ教えてください。

仕事をしていると「納期的に大変な作業」という事態も出てきます。そんなときは「どこが難しいのか?」「どの工程に無理が生じるのか?」などを紙面に書き出してから、可能性を探ります。スケジュールを可視化することで自分の考えもまとまりますし、それを周りに示すことによって「ここをこうすればどうだろう?」といった意見も出やすくなります。

実は主任自身も“救われた”体験が。強く根付くお互いを思いやる社風。

──相談しやすい関係性づくりのために、大切にされていることはありますか?

ありがたいことに、何でも聞きに来てくれるので、「あえてこれをしている」といった特筆すべきことはないです。普段からオープンなスタンスでいるという、自分の性格に起因するものではないでしょうか。質問の内容は仕事の進め方から「こんな用具が欲しい」といったものまでさまざまです。

ちなみに、頼られるだけではなく私自身も“助けてもらった”という経験があります。職人あるあるだと思うのですが、周りが見えなくなるくらい物事に集中することが連続してしまったとき、「ちょっと息継ぎをしましょう」と言われて、ハッと我に返り救われることもあります。

あと、私は「何事にも手を抜かず、一生懸命打ち込む」タイプなのですが、一方で何か聞かれたら、自分の作業の手が止まることを嫌に思うことはありません。そんな態度や行動を見て「話しやすい」と思ってくれているのかも知れません。

──「達成感」を覚えたエピソードはありますか?

日々の業務を無事に終えることが、毎日の確かな充実感につながっています。一方でイレギュラーな出来事で、「達成感を味わった」というエピソードとしては、スケジュール的にタイトで、内容的にも難しい業務を請け負ったときです。チームで連携し「ここは私が得意だから担当する」「ここは任せた!」といった具合に、パズルを組み合わせるように仕上げていき、無事に納期に間に合わせることができました。みんなが普段培っている職人技をフルに発揮して、難局を乗り切ったとき体はヘトヘトでしたが心は大きな充実感でいっぱいでした。

──羽衣電機の社風に合う方の特徴について教えてください。

チームで仕事を進める職場なので「場の空気を読める」「気が回る」といったタイプの方なら、早期に活躍できると思います。ただ、基本的に“やる気”さえあればどんな方でも力を発揮できる職場だと思います。わからないことがあれば、積極的に質問してくださる方だと成長スピードも早いと思います。あと個人的には、「これだけは人に負けない!」という気持ちとプロ意識を持ち、何かしらの“専門家”になることを目指して欲しいです。